どこまで減塩する?塩は、本当に体に悪いのか

どこまで減塩する?塩は、本当に体に悪いのか

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昨今の減塩ブームで、スーパーの調味料コーナーでは「減塩〇〇」を見かけない日はありませんね。

健康意識の高い方ほど気になるでしょう。

しかし、どうも「塩=悪者」「塩=体によくない」というイメージが強すぎるのでは、と思わずにはいられません。

はたして、本当にそうなのでしょうか。


本記事では、江戸時代からの塩問屋  莨屋塩座が、味覚と栄養の両面からお塩に関する役立つ知識をご紹介していきます。

 

塩分と味覚・食欲の関係

調味料のさしすせそ

みなさんもご存じの通り、塩は調味料の基本「さしすせそ」の「し」。
5種類の中で、最も古くからある調味料です。

味覚的には、人の塩に対する要求はひときわ強いと言われています。

このような昔話があるのはご存じでしょうか。

『父親である王様の大切さを塩で例えた末娘。「私が塩と同じだというのか」と王様は怒り、娘を城から追い出してしまいます。しかし実際に塩がなくなり、甘い料理や味気のない料理ばかり食べ続けるとうんざりし、食欲がなくなり、心底、塩を欲するようになった王様。涙を流し、塩の大切さと、それを知っていた末娘の大切さに気づく』

というお話しです。


さまざまな翻訳のものがあり「塩は黄金よりも尊し」などのタイトルで出版されています。

昔話か、と思われるかもしれませんが、このように適度な塩味が食べ物をより美味しく感じさせ、食欲増進にもつながることはまぎれもない事実です。

また、甘味や酸味は代用できるものがさまざまありますが、塩だけは代わるものがないという点も、特別なものと感じます。

 

「人体にとって有益なもの」=「美味しい」=「適量」

人の体には常に一定の割合(0.85%)で塩分が含まれており、その塩分が生命を維持するための大切な役割を果たしています。

多少の好みの違いはあれど、人体にとって理想的な塩分濃度に近い0.9%前後が大体の人が「美味しい」と感じる塩分量だそうです。

人の体はとても賢くて「人体にとって有益なもの」を「美味しい」と感じるようにできているのですね。

炒めものなど、フライパンに付着して流出してしまう分などを考慮すると、1%が適量だとか。

プロの料理人も感覚で料理しているのではなく、こういった法則に従って塩加減を決めているそうですよ。

 

塩おにぎり

塩の栄養と役割

塩のおもな成分は塩化ナトリウムと、少量のその他のミネラル。
先ほども述べたように、ナトリウムは生命維持に欠かせないミネラルです。

さらに、これほどまでに科学が進歩した令和の時代であっても、塩に代わるものを人工的に造り出すことはできないそうです。

塩のもつ役割は、

・細胞を正常に保つ 
・神経や筋肉の働きの調整
・胃腸の消化吸収を助ける

など。つまり塩が足りないと、身体のあちこちがうまく働かなくなってしまうわけです。

塩は、味覚・栄養どちらの面でも代わるもののない、かけがえのない食品だということが分かりますね。


【まとめ】ちょうどいい塩梅で

もちろん多すぎては病気を引き起こしますが、少なすぎても健康維持に問題あり、ということですね。

醤油や味噌を日常的に使う日本人は、ふつうの生活を送っていれば塩分不足におちいる心配はないと言われています。

そのため、むしろ摂りすぎが心配され、減塩が注目を浴びているわけですが、何事も過ぎたるは及ばざるが如し。

塩の大切な働きを知り、多すぎず少なすぎずのちょうどいい関係でお付き合いしたいものですね。




参考文献 : 飯田薫子、寺本あい(2019)『一生役立つ きちんとわかる栄養学』西東社