健康を考えるとできるだけ塩分は控えたい。
でも、美味しい食事も諦めたくない。
多くの方が持つ葛藤ではないでしょうか。
「衣食住」という言葉にも表されるように、食は生活の3大要素のひとつであり、生きていく上で切っても切り離せないもの。
また、食欲は人間の3大欲求のひとつでもある、原始的な欲求。
食の楽しみは、日々の生活に彩りと心に豊かさをもたらしてくれますよね。
体のためを思って減塩を試みても、やはり美味しくなければ続けられないものです。
そこで本記事では、江戸時代からの塩問屋 莨屋塩座が、減塩と美味しさのどちらも叶える「うま味を引き出す塩の力」についてお伝えしていきます。
ポイントは「うま味」
もともと肉や魚、野菜や果物などの素材にはうま味成分がたっぷり含まれていますが、そのうま味を活かせるかどうかは、調味の仕方や食材の組み合わせにより結果が異なってしまいます。
塩が少なくとも、味に深みや厚み、美味しさを強く感じられるようになる「うま味」をいかに上手に引き出すことができるか?がポイントになるわけです。
うま味と旨味の違い
ところで、「うま味」と「旨味」は似て非なるもの。
「うま味」は人が感じる5種類の味覚「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」「うま味」のひとつであるのに対し
「旨味」は味はもちろんのこと、見た目や香り、雰囲気なども含め、総合的に「美味しい!」と感じる感覚のことです。
※「うま味」は、1908年に日本人である池田菊苗博士(東京帝国大学/現在の東京大学)が発見したもの。そのため、英語でも「umami」と表現されています。
対して「旨味」は英語で言うところの「delicious」に相当するのですね。
塩の対比効果で素材のうま味を引き出す
塩は「塩味」以外の味覚にもさまざまな影響を与えます。
当店では「塩いちご」をおすすめしておりますが、ほんの少しお塩を加えることで、いちごの酸味を抑え甘味が引き立つためです。
みなさんもよく知るところでは
・すいかに塩
・お汁粉に塩
などでしょうか。
当然、いちごやすいか、お汁粉自体の甘味が増すわけではありませんが、塩の効果で甘味が際立って感じられる、ということなのです。
同様に、塩は素材が持つ「うま味」を引き立たせます。
例えば、お出汁。お出汁をそのまま飲んでもさほど美味しく感じられませんよね。
しかし、ほんの少しお塩を入れると、見違えるように美味しく感じられます。これも、塩が出汁のうま味を引き立たせる、対比効果なのです。
素材の「うま味」を引き出す × 「旨味」を持つ塩の相乗効果
「塩がうま味を引き出す」これは事実なのですが、塩辛さを感じさせる塩化ナトリウムが99.5%以上の精製塩ではしょっぱさばかりが目立ち、塩自体の旨味はほとんど感じられません。
スーパーなどで手軽に入手しやすいのは良いのですが、うま味を引き出し減塩を目指すには力不足感が否めません。
塩は、塩化ナトリウム以外のミネラル分が豊富に含まれているほど塩自体の旨味が豊富に感じられます。また、それが素材のうま味と合わさり、さらに複雑な味わいに仕上げてくれるのです。
手前味噌ではありますが(塩ですが……)
当店の伝統的な製法で作られている 純国産塩「 塩の道 足助直し」は数種類を合わせることにより、1種類ではなし得ないまろやかで旨味のあるお塩となっております。
えぐみの少ないマイルドなお塩は素材のうま味を引き出す力も抜群です。
減塩と美味しい食事を両立したい方は、ぜひ一度お試しくださいませ。
参考文献:秋田県立大学生物資源科学部応用生物科学科食品醸造研究グループ研究資料「塩が生み出す味の広がり」
一部、公益財団法人ソルト・サイエンス研究財団の助成を受けて実施
(助成番号 0540, 1141, 1239, 1559)